2008年2月26日火曜日

動歩行と静歩行

年末に MacBook Pro を新調したばかりだというのに、MacBook Air に続いて MacBook Pro のパワーアップバージョンが出てしまった。ま、いいか。


それはともかく、ナンバのことを調べていて、それからふと、これも少し前から流行っているらしい廣戸聡一の『4スタンス理論』なる本を見たら、そこには二種類の歩きかたも整理して取り込まれていた。ここで言われている「動歩行」が現在の私たちが普通だとみなしている歩き方、「静歩行」が「ナンバ歩き」にあたるように思われる。(33-35ページ)

「歩くには、おおまかにいって2つの方法があります。
ひとつは、身体を前傾させて体幹を足幅面よりも前に出し、それを支えるために片足を踏み出す歩きかたです。わざと前にバランスを崩して無意識に足を前に出させるのです。
この方法は、平坦な土地を歩くときに適しています。[...] ヒトの本能的なバランス能力を活かす効率的な歩きかたです。この方法を「動歩行」と呼んでいます。」


省略した部分にある「平坦で広大な大地を持つ西洋の大陸に住む人々にこの歩き方が多いのもうなずけます」というのはちょっと危うい、余計な一言のような気がするが…。(山の多いスイスやスロヴェニアの連中はどうなんだ?)

「動歩行」は、平坦な土地ではエネルギー効率がいいが、雪道など足場の悪い、最初からバランスを崩しやすい状況には適さない、という。

「一方、日本の伝統的な歩きかたに「すり足」というものがあります。武道や舞などの芸能の場で基本となる歩きかたです。
このすり足を真上から見ると、体幹は歩いている間ずっと足幅面のなかにあります。つまり、常に安定しているということです。この方法では、歩いているどの段階でもバランスを崩さずに身体をコントロールすることができます。これを「静歩行」と呼んでいます。静歩行は、雪道など悪環境下でも安定を保ちやすい歩きかたです。また、歩行中に不意に誰かに押されたとしても、体勢を容易に崩されることはありません。」


ところが、この「動歩行」「静歩行」の記述が、「体幹」の説明につながっているのは分かるが、「4スタンス理論」の中でどう位置づけられているのかは今一つ明確でない。後の方の「タイプ別基本動作入門」の章で「歩く・走る」に関しては、A1, A2, B1, B2 どのタイプも、「静歩行・静走行」を学ぶべきだとされている。どうやら「動歩行」は切って捨てられているみたいだ。

同じ本の第一章では、さまざまなスポーツ選手とともに音楽家も取り上げられていて、フルトヴェングラーが B1 タイプ、カラヤンが A2 タイプ、ムターが A1 タイプ、チェリストの村中俊之さんが B2 タイプだという。しかしこの部分、ほとんど「口絵」的な構成で、どうも要領を得ない。それ以後の本文に音楽の話は一切ない。

「動歩行は西洋人に多いと述べましたが、それはエネルギー効率を優先してのことであり、西洋の人たちももちろん必要に応じてしっかりと静歩行を操っています。」だそうだ。あちらのスポーツ選手を見ての判断なのだろうが、よく分からない。

というわけで、「ナンバ」的動作とクラシック音楽演奏の(敵対?)関係、まだまだ模索中・検証中です。

ドイツで活躍するヴァイオリニスト、保坂喬子(もとこ)さんが、そのブログで「4スタンス理論」に触れて、「これで今まで自分で考えていた事、実体験からの感覚が繋がって、演奏する時の体の使い方に対する自覚が変わってきた」と書いていらっしゃる。保坂さんがお読みになったのは『キミは松井か、イチローか』らしいが、このあたり、もう少し詳しいお話を伺ってみたいものだと思う。

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