2008年2月27日水曜日

グラフィティ

ニュージーランドの氷河にスプレーで落書きをしたおバカなドイツ人が捕まって、自分で清掃させられたというAPからのニュース。この行為に怒ったイギリス人観光客に写真に撮られてチクられ、村を発つバスに乗り込もうとしたところをご用。

この犯人というのがミュンヘンから来た「ジャン・フィリップ・シャルバート(28)」くんとやらで、どうにもこの名前がドイツっぽくない。それが腑に落ちなくて、横文字の記事を探したら、NZ Herald の記事に、Jan Philip Scharbert だとあった。たぶんヤン・フィリップ・シャーバートくんなのだろう。

一番ひっかかったのはヤンが「ジャン」になっていた点。もっとも、ドイツ語圏で「外国風」の名前が付けられることも少なくないので、Jean というドイツ人もいるし、その場合は「ジャン」なのではないかと思う。カルロス・クライバーはスペイン語風の名前だったわけだし。

その他にも小さなポイントに気づく。ドイツ語の、母音の後で半母音化するRの音訳は、現在の日本では揺れている。上の記事では、Scharbert の最初の〈母音+R〉は「ル」で表記され、あとのものは音引きで表記されていたわけだ。作曲家のシューベルトは日本語では伝統的にシューベルトに固まってしまっているけれど、現在の標準ドイツ語的な音をカナに移すのであれば、シューバートだろうし、やはり作曲家のシューマンの名は、「ロベルト」「ローベルト」などと書かれるのだが、同様に「ローベアト」「ローバート」になるだろうと思われる。それでいくと、モーツァルトだって「モーツァート」。昔から音訳の「定訳」があるものはそれに従うが、最近のヒトの名前なんかだと、ここらへん、ぼくらもドイツ語名をカナ表記するときに少し迷う事がある。

ヤンくんは1日だか1日半だかかけて、汚した部分をキレイにさせられた。Sky News の記事 に出ている現行犯画像によると、氷河といっても、その脇の岩にお絵書きしてしまったらしい。これを、ice axe で削り取る作業をさせられたわけだ。当局は「清掃作業に満足」しており、シャーバートくんに対してそれ以上の訴追をするつもりはない、とのこと。

ところで、落書きされたのがフランツジョセフ村のフランツジョセフ氷河。こちらはどう見てもドイツ系のお名前。Wikipedia の記述 (Franz Josef Glacier) によれば、ドイツの探検家、ユリウス・フォン・ハーストが、1865年に、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世にちなんで命名したという。

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